【2026年宅建試験対応】法改正まとめ|重要度・変更点・出題ポイントを徹底解説

Writer : 早川 聡 最終更新日:2026/8/4
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宅建試験は、その年に法改正された論点が出やすいという傾向があります。

法改正の内容によっては、去年まで問題なかったものがNGになったり、去年までNGだったものがOKになることも少なくありません。宅建試験を初めて受ける方は出題されやすい論点として学習し、2回目以降の受験者は去年と異なる点をしっかりチェックしておきましょう。

2026年の宅建試験では、原則として2026年4月1日時点で施行されている法令が出題範囲です。

本記事では、2026年試験で新たに注意すべき改正を中心に、試験で狙われやすい「数字」「改正前後の違い」「ひっかけポイント」を整理しています。是非最後までチェックしてみてください。

重要度の見方

★★★★★:最重要の論点。数字・要件まで正確に暗記すべし

★★★★☆:重要な論点。正誤問題に対応できるレベルで理解

★★★☆☆:出題可能性あり。改正前後を区別できるように

★★☆☆☆:余裕があれば確認

★☆☆☆☆:実務的・周辺的改正。概要のみおさえておく

目次

    重要度一覧

    分野改正内容重要度
    権利関係区分所有法の大改正★★★★★
    権利関係住所・氏名等の変更登記の義務化★★★★★
    宅建業法管理業者管理者方式に関する35条説明事項の追加★★★★★
    不動産取得税の免税点引上げ★★★★★
    新築住宅の床面積要件の変更★★★★☆
    権利関係公正証書遺言のデジタル化★★★★☆
    不動産登記法スマート変更登記などの新制度★★★☆☆
    宅建業法懲役・禁錮から拘禁刑への変更★★★☆☆
    その他住宅金融支援機構の直接融資対象の拡大★★☆☆☆
    民法離婚後共同親権・財産分与請求期間等の改正★☆☆☆☆
    法令上の制限森林法・港湾法関係の改正★☆☆☆☆

    ⚠️最優先の4分野

    区分所有法、住所等変更登記、管理業者管理者方式、不動産取得税の数字は、2026年試験の法改正対策の中心です。

    区分所有法の改正

    重要度:★★★★★

    2026年試験の法改正で最も重要な分野です。宅建試験の問題で問われやすい決議要件の緩和に加え、普通決議・特別決議・建替え決議を区別し、しっかり整理しておきましょう。

    集会の普通決議が出席者基準に変更

    改正前※初学者は改正前を読まずに改正後だけチェックしましょう
    原則として、全区分所有者と全議決権を母数にし、「区分所有者の過半数」かつ「議決権の過半数」で決議していました。

    改正後
    原則として、集会に出席した者を母数にし、「出席した区分所有者の過半数」かつ「出席した区分所有者の議決権の過半数」で決議します。欠席者は原則として決議の母数に入りません

    補足:議決権行使書(書面・電子)の提出者や委任状による代理人出席者は出席者に含まれます。

    ⚠️宅建試験出題のポイント

    「区分所有者及び議決権の各過半数」から、「出席した区分所有者及びその議決権の各過半数」へ変更されました。「出席した」という文言が最大のポイントです。

    特別決議には定足数が設けられた

    共用部分の重大変更、規約の設定・変更・廃止などは、次の二段階で判断します。

    1. 集会を成立させるための定足数
      …区分所有者の過半数及び議決権の過半数を有する者が出席
    2. 決議を成立させるための多数
      …出席区分所有者の4分の3以上及び出席者の議決権の4分の3以上
    決議改正後の原則
    普通決議出席区分所有者・その議決権の各過半数
    共用部分の重大変更定足数を満たした上で、出席区分所有者・その議決権の各4分の3以上
    規約の設定・変更・廃止定足数を満たした上で、出席区分所有者・その議決権の各4分の3以上

    所在等不明区分所有者を決議の母数から除外できる

    区分所有者又はその所在を通常の調査によっても確認できない場合、裁判所の手続を経て、その者を集会の決議の母数から除外できる制度が新設されました。管理組合が独断で除外できるわけではなく、裁判所の認定が必要です。管理組合が除外できるといった問題が出題される可能性があるので注意しましょう。

    共用部分の重大変更が3分の2で決議できる場合

    共用部分の重大変更は原則として、出席区分所有者及びその議決権の各4分の3以上です。ただし、次の場合は各3分の2以上に緩和されます。

    • 共用部分の設置・保存に瑕疵があり、権利侵害や危険を除去するために必要な変更
    • 高齢者・障害者等のためのバリアフリー化に必要な変更

    倒壊のおそれがある立体駐車場の撤去、エレベーターの設置など。

    大規模滅失後の復旧決議

    建物価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の復旧決議に関して、区分所有者及び議決権の各過半数を有する者が出席した集会において、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上で決議できるようになりました。

    建替え決議の要件緩和

    原則
    建替え決議は、従来どおり「区分所有者の5分の4以上」かつ「議決権の5分の4以上」が必要です。建替えは区分所有権の処分を伴うため、普通決議のような出席者基準ではない点に注意しましょう。ただし、以下のような客観的事情がある場合は、例外規定が適用され、各4分の3以上に緩和されます

    例外規定
    • 耐震性が不足している
    • 火災に対する安全性が不足している
    • 外壁等が剝離・落下し、周囲に危害を及ぼすおそれがある
    • 給排水管の腐食等により、著しく衛生上有害となるおそれがある
    • バリアフリー基準に適合していない

    新しいマンション再生決議

    従来の建替えに加え、以下の再生方法が多数決決議で選択できるようになりました。

    • 建物更新決議(いわゆる一棟リノベーション)
    • 建物・敷地の一括売却
    • 建物を取り壊した後の敷地売却
    • 建物の取壊し

    原則は各5分の4以上、耐震性不足等の客観的事情がある場合は各4分の3以上、政令指定災害による被災の場合は3分の2以上に緩和されることがあります。

    建替え決議後の賃貸借終了制度

    建替え決議が成立した場合、一定の者は専有部分の賃貸借を終了させる請求が可能です。

    • 終了請求から6か月経過すると賃貸借が終了
    • 賃借人には金銭補償が必要
    • 賃借人は補償金の提供を受けるまで明渡しを拒むことができる

    ⚠️ひっかけに注意

    建替え決議が成立したからといって、すぐに賃貸借が終了するわけではありません。

    参考:その他の区分所有法改正

    • 所有者不明専有部分管理制度
    • 管理不全専有部分管理制度
    • 管理不全共用部分管理制度
    • 海外居住者等が国内管理人を選任する制度
    • 共用部分の工事と専有部分の工事を一体的に決議する制度
    • 管理者が旧区分所有者を代理して損害賠償請求を行う制度
    • 区分所有者相互の協力義務の明文化
    • 電子データで作成された規約の送受信による閲覧
    • 管理組合法人による区分所有権や土地の取得
    • 建物滅失後の敷地共有者等集会
    • 共有専有部分についての議決権行使者の指定方法
    • 集会招集通知に議案の要領を記載する義務
    • 招集通知期間を規約によって1週間未満に短縮できないこと

    住所・氏名等の変更登記の義務化

    重要度:★★★★★

    2026年4月1日から、不動産の所有権登記名義人は、住所・氏名・名称に変更があった場合、原則として変更日から2年以内に変更登記を申請しなければなりません。正当な理由なく申請を怠った場合は、5万円以下の過料の対象になります。

    施行日前に変更している場合

    2026年4月1日より前に住所や氏名が変わっているにもかかわらず変更登記をしていない場合も対象です。この場合は、原則として2028年3月31日までに変更登記をする必要があります。この規定も宅建試験で問われる可能性があります。

    相続登記との比較

    項目相続登記住所・氏名等変更登記
    原則期限取得を知った日から3年以内変更日から2年以内
    過料10万円以下5万円以下
    施行日2024年4月1日2026年4月1日

    ⚠️数字のひっかけ

    相続登記は「3年・10万円」、住所等変更登記は「2年・5万円」です。

    不動産登記に関するその他の新制度

    スマート変更登記

    重要度:★★★☆☆

    個人が検索用情報を申し出ておくと、登記官が住民基本台帳ネットワーク等から住所変更情報を取得し、本人の意思を確認した上で、職権で住所等変更登記を行う仕組みです。

    法人についても、会社法人等番号を利用して商業・法人登記情報と連携する仕組みが導入されました。難易度の高い問題として出題される可能性があります。

    ⚠️誤解しやすい点

    住所変更登記の義務がなくなったのではありません。職権登記により義務を履行しやすくする制度です。

    所有者の死亡を示す符号

    重要度:★★☆☆☆

    登記官が公的機関から死亡情報を取得した場合、不動産登記に、所有権登記名義人が死亡していることを示す符号を表示できる制度が始まりました。これは相続登記そのものではなく、死亡符号が表示されても相続人への所有権移転登記が完了したことにはなりません。

    所有不動産記録証明制度

    重要度:★★★☆☆

    2026年2月2日から、特定の人が所有権登記名義人となっている不動産を全国から検索し、一覧化した証明書の交付を請求できる制度が開始されました。所有者本人だけでなく、相続人その他の一般承継人も請求できます。相続不動産の把握漏れを防ぐ制度です。

    管理業者管理者方式に関する重要事項説明

    重要度:★★★★★

    2026年4月1日から、区分所有建物について、マンション管理業者が管理組合の管理者等を兼ねる管理業者管理者方式が採用されている場合、その旨が宅建業法35条の重要事項説明事項に追加されました。管理業務の受託者と管理組合の代表者が同一になるため、工事発注等で利益相反が生じる可能性があることが制度の背景です。

    対象取引

    取引新設項目の説明
    区分所有建物の売買・交換必要
    区分所有建物の貸借不要
    ※賃借人は管理組合の構成員(区分所有者)ではなく、管理者との利益相反問題の影響を受けないため

    懲役・禁錮から拘禁刑への変更

    重要度:★★★☆☆

    2025年6月1日から、懲役と禁錮が廃止され、拘禁刑に一本化されました。これに伴い、宅建業免許の欠格事由、宅建士登録の欠格事由、罰則規定の文言も変更されています。ただし、刑の執行終了等から5年間欠格となる仕組み自体は変更されていません

    ⚠️宅建試験出題のポイント

    旧法の「禁錮以上の刑」は、2025年6月1日以後、「拘禁刑以上の刑」に改められました。

    公正証書遺言の一部デジタル化

    重要度:★★★★☆

    2025年10月1日から、公正証書作成手続がデジタル化され、公正証書遺言についてもインターネットによる嘱託、一定の場合のWeb会議、原本の原則電子化、正本・謄本等の電子データによる交付が可能になりました。

    宅建試験における重要な要件

    1. 証人2人以上の立会い
    2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること

    ⚠️誤解しやすい点

    デジタル化されたからといって、誰でも簡単に公正証書遺言を自宅からオンラインで作成できるわけではありません。Web会議方式は、本人確認・意思確認に支障がなく、公証人が相当と認めた場合など、条件を満たした場合に利用できます。証人2人以上の立会いと本人の口授は引き続き必要です。

    税に関する改正

    不動産取得税の免税点引上げ

    重要度:★★★★★

    2026年4月1日以後に取得した不動産について、不動産取得税の免税点が次のように引き上げられました。不動産取得税の免税点は、宅建試験で過去何度か問われているので、しっかりおさえておきましょう。

    対象改正前改正後
    土地10万円未満16万円未満
    家屋・建築による取得一戸につき23万円未満一戸につき66万円未満
    家屋・建築以外の取得一戸につき12万円未満一戸につき34万円未満

    ⚠️不動産取得税の免税点は不動産の価格で判断!

    土地16・建築66・その他34。免税点は「税額」ではなく、原則として課税標準となる不動産の価格で判断します。

    新築住宅の不動産取得税の特例

    重要度:★★★★☆

    新築住宅の価格から一定額を控除する課税標準の特例について、床面積要件が変更されました。以下の項目をしっかり覚えておきましょう。

    改正前改正後
    原則50㎡以上240㎡以下40㎡以上240㎡以下
    戸建て以外の貸家は40㎡以上住宅の種類を問わず原則40㎡以上

    ※東京23区内の一定の特定都市再生緊急整備地域では、下限が50㎡のままとなる場合があります。

    新築住宅の固定資産税減額措置

    重要度:★★★★☆

    新築住宅の固定資産税を2分の1に減額する措置が延長され、床面積要件が変更されました。

    改正前改正後
    原則50㎡以上280㎡以下40㎡以上240㎡以下
    戸建て以外の貸家は40㎡以上280㎡以下原則40㎡以上240㎡以下

    減額期間の基本は従来どおりです。

    • 一般住宅:3年度分
    • 3階建て以上の中高層耐火・準耐火住宅:5年度分
    • 原則として120㎡相当分まで、固定資産税を2分の1に減額

    固定資産税の免税点を混同しないよう注意

    固定資産税の免税点について、家屋20万円から30万円、償却資産150万円から180万円への引上げが決まっていますが、適用は2027年度以後の固定資産税です。

    ※2026年度分の固定資産税には適用されないため、2026年の宅建試験対策としては優先度が低い論点と言えます。

    離婚・親子関係に関する民法改正

    重要度:★☆☆☆☆

    2026年4月1日から、次の改正が施行されています。

    • 離婚後、父母双方を親権者とすることが可能に
    • 財産分与請求期間が離婚後2年から5年に延長
    • 夫婦間契約取消権の規定を削除
    • 「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと」を独立の裁判上の離婚原因から削除
    • 養育費について一般の先取特権等を整備

    いずれも民法改正ですが、宅建試験の中心となる契約・物権・担保物権・相続との関係は薄いため、財産分与請求期間の「2年から5年」程度を確認し、深追いする必要はないでしょう。

    住宅金融支援機構の直接融資

    重要度:★★☆☆☆

    住宅金融支援機構が直接融資できる資金の範囲に、マンションの建物更新等に必要な資金及び要除却等認定マンションの除却等に必要な資金が追加されました。老朽化マンションについて、建替えや売却が難しい場合でも除却を進めやすくするための制度です。5問免除の中の住宅金融支援機構に関する問題として、出題される可能性があります。

    ⚠️試験対策

    細かな融資条件より、「要除却等認定マンションの除却等に必要な資金が直接融資の対象に追加された」という概要を押さえれば十分です。

    法令上の制限・宅建業法の細かな改正

    森林法・港湾法関係

    重要度:★☆☆☆☆

    35条重要事項説明の対象となる法令上の制限について、森林法・森林経営管理法や港湾法の改正に伴う条文・対象事項の変更があります。大きな制度変更というより、重要事項説明の対象法令の整理・差替えに近い改正です。念のため抑えておきましょう。